● 生活習慣の改善から始めよう
高血圧の治療には生活習慣の改善と薬物療法があります。
一般的には軽症高血圧には合併症を伴っていない場合は、まずは生活習慣の改善から始めます。
食生活と運動が生活習慣改善の中心ですが、食塩の摂取量を減らし、適正な体重を維持するために摂取エネルギー量も調節します。野菜や果物などカリウムを多く含む食品を積極的に取り、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪は控えます。
懸垂や腹筋などを息を止めて行う無酸素運動は血圧を上げる運動なので危険です。ウォーキングのように無理なく酸素の取り込みが出来る有酸素運動を自分の体力に合わせて継続して行いましょう。
もちろん、その他お酒の飲みすぎを控えることや禁煙も大切です。
● 長期的な治療で、ゆっくりじっくり目標に近づける
高血圧を治療する上で最も大切なのは、まずは高血圧を出来るだけ早く発見して、早期に治療を進めることです。そのためには普段からの家庭での血圧測定の習慣が必要です。
血圧が低いほど合併症のリスクは少なくなりますが、血圧を一気に下げるとかえって身体に悪影響を及ぼす場合があるので、腎機能が急激に下がる危険性があるなど、早急に血圧を下げなければならないという事態でなければ、通常は3カ月程度の時間をかけて、ゆっくり目標数値まで血圧を下げていきます。
● 治療の開始時期は患者のリスクにより異なる
高血圧の治療は生活習慣の改善が基本ですが、それでもなかなか血圧が下がらない場合は、薬を使った治療を行う必要があります。
生活習慣の改善を一定期間行っても収縮期140mmHg未満、かつ拡張期90mmHg未満まで改善が見られない場合は、薬物治療が行われます。
開始時期はそれぞれの合併症のリスクにより異なりますが、低リスクの場合は生活習慣を改善して、3ヶ月経っても血圧が下がらなければ薬による治療が行われます。
一方、重症高血圧や糖尿病などの合併症を伴う重度の患者の場合はすぐに薬物治療を開始し、早急に血圧を下げる必要があります。
生活習慣の改善は血圧を下げる上で必要不可欠なのでリスクの程度に関係なく必ず生活習慣の改善と並行して行われます。