● 妊娠高血圧症とは?
妊娠中に起こる高血圧、たんぱく尿、むくみなどの症状は、以前は妊娠中毒症と呼ばれていましたが、現在では妊娠高血圧症候群と呼ばれています。
妊娠中に起こる高血圧は、胎盤に原因があると考えられており、母体と胎児をつなぐ胎盤から、母体の血管壁に影響を与える物質が出ることで、血圧が上がるといわれています。
妊娠高血圧症候群をうまく乗り切るには妊娠前後の準備が大切です。
高血圧気味の人が妊娠をしたい場合はまず減塩を行い、血圧をコントロールすることが大切です。しかし、すでに妊娠している人は高血圧になったからといって、いきなり減塩するのはNGです。胎盤は食塩の摂取量に合わせて血流量を維持するので、急に食塩の摂取量が減って胎盤内の血圧が下がると血流量が減り、早産の危険性が出てくるためです。
また、妊娠中にアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬やACE阻害薬を用いると、胎児の腎臓や心臓に重大な影響を与える恐れがあるため、禁止されています。
また、妊娠中は1日に1時間ほど横になるようにすると、交感神経の働きを弱めて血圧を下げる効果が期待できます。
出産後は通常3~4カ月ほどでたんぱく尿が消え、血圧も下がります。ただし、妊娠前から高血圧や腎機能障害があった人は定期的に検査を受けることをお勧めします。
● 妊娠に関する高血圧
妊娠高血圧 (妊娠高血圧症候群) |
妊娠20週以降に初めて高血圧(収縮期140mmHg以上、または拡張期90mmHg以上)を発病し、出産後12週までに正常に戻るもの。 |
子癇前症 | 上記の妊娠高血圧の条件に加え、1日300mg以上の蛋白尿を伴うもの。 |
子癇 | 妊娠20週以降に、初めて痙攣発作を発病するもの。ただし、てんかんや妊婦以外の原因によって起こる痙攣は除く。 |
加重型子癇前症 | 妊娠20週までに高血圧や蛋白尿、腎臓病などを発病するもの。症状の種類やその現れ方によって更に細かく分類される。 |