高血圧の改善に欠かせない塩分の制限は、体内のナトリウムを減らすためですが、食品中の栄養素にはナトリウムの排泄を促す働きを持つものがあります。そうした栄養素を積極的に摂取することで、高血圧を下げる効果が高まります。
● 余分なナトリウムを追い出すカリウム
体内のナトリウムが増えて、細胞内に余分に侵入しても、カリウムが十分にあれば、カリウムが細胞内に取り込まれることでナトリウムは細胞の外に押し出され、更に腎臓から排泄されます。
カリウムが足りないと、体内のナトリウム濃度が上がって血圧が上がり、細胞内の濃度を薄めるために、水分が細胞内にとどまり、むくみが起きます。
したがって、カリウムを十分に取れば、体内の余分なナトリウムがスムーズに排泄され、結果的に血圧が上がることを抑えることが出来ます。
カリウムを多く含むリンゴの産地の人々は実際に血圧が低いといわれており、他にもカリウムの多い食事を取ると血圧が下がるという報告も多数あります。
● 野菜、果物、いもが一番のカリウム供給源
カリウムは肉や魚、改装にも豊富に含まれていますが、これらの食品にはナトリウムも多く、せっかくのカリウムがしっかり生きません。
ナトリウムの含有量に対し、カリウムが多いのは野菜や果物ですが、塩を多く使った調理をすればせっかくのカリウムメインのバランスが崩れてしまうので、あくまで薄味で調理することが大切です。
また、カリウムは水に溶けやすく、ゆでたり煮たりすると約3割が流れてしまうので、生サラダやカリウムが解けた煮汁ごと飲めるスープなどがお勧めです。
また、果物は基本的に生食ですので、カリウムの摂取には最高の食品と言えるでしょう。カリウムの所要量は1日2000mgで、これを確保するにはいも100g、果物200g、野菜350gが最低必要量となります。
● 神経の興奮を抑え、血圧を下げる効果のあるカルシウム
カルシウムは神経の伝達や筋肉の収縮のコントロール役も果たしており、ストレス解消にも大きな働きがあります。
近年では、血圧の安定化にも効果のあることが分かり、高血圧の人はカルシウムの代謝異常が起きていること、カルシウムを十分に与えると血圧が下がることがすでに動物実験では証明されています。
また、カルシウムの不足は、副甲状腺ホルモンの異常分泌を招き、血管壁にカルシウムが沈着して、動脈硬化を招きます。
カルシウムの供給源として知られるのは牛乳など乳製品ですが、小魚、海藻、緑黄色野菜にも豊富に含まれており、良質タンパク質、酢や柑橘類に含まれるクエン酸はカルシウムの吸収を促し、加工食品の添加物に多用されるリンはカルシウムの吸収を妨げます。
カルシウムを摂取するためには、バランスのとれた手作りの食事を取ることが一番大切なのです。